新型コロナウィルスの感染が広がる今日、私たちは「いのちを守る」ことの大切さを改めて覚えさせられています。このために、互いに気遣い、励まし合い、三つの「密」(密接、密閉、密集)を避けて、自分のいのちを守るだけでなく、私たちの隣人のいのちを守るために「家にとどまる」生活をしています。このような基本的な配慮を保ちながらも、「より豊かないのち」とは何であるのかを、この苦しい状況の中で改めて覚えたいと思います。
キリスト教信仰は、まさに創造主なる「神のかたち」に造られた人間の「いのち」の重さと大切さ、一人ひとりの人格とその生涯の歩みを大切に考えます。イエス・キリストは、まさに「光は闇の中に輝く」(ヨハネ1:5)お方として、様々な抑圧という闇にある人々に、傷つき痛む人間関係という闇にある人々に、不治の病いという闇にある人々に、貧困と飢餓という闇にある人々に「いのちの光―より豊かないのち」を照らし与えるために来られました。
2020年4月5日(日)は、教会暦で「棕梠の主日」です。キリストの十字架への「受難週」の始まりです。イエス・キリストは、闇の中にいる私たちを照らし、「より豊かないのち」を与えるためにご自分をささげられ(4/10、受難日)ましたが、三日目に死者の中から「よみがえられ」ました(4/12、復活日)。キリスト教会はこれを「イースター(復活日)」としてお祝いしています。世界の闇を深める新型コロナウィルスの脅威の中でも、永遠へとつながる「より豊かないのち」を照らし与えてくださるイエス・キリストを、4月12日(日)に迎える「イースター」で、ともに深く覚え、礼拝したいと思います。現在、感染と闘う方々のいやしと、医療従事者の健康と働きのためにも心を合わせてお祈りしたいと思います。